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契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違い・期間・免責方法までわかりやすく解説

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※2026年6月21日現在の法律に準じた内容です。

家を売却した後、思いがけない不具合について買主から責任を問われるのではないかと、不安を抱える売主は少なくありません。2020年の民法改正により、それまで「瑕疵(かし)担保責任」と呼ばれていた制度は「契約不適合責任」という名称に変わり、その判断基準や責任の内容も大きく見直されました。

本記事では、改正のポイントから売主が取り得る免責方法、トラブルを避けるための告知の工夫まで、売却前に知っておきたい内容を整理します。

法改正前の瑕疵担保責任の考え方とは?

瑕疵担保責任とは、売買の対象物に隠れた欠陥が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。かつての民法で長く用いられてきた考え方ですが、現在の既存(中古)住宅売買においても、その考え方の基本を理解しておくことは重要です。

そもそも「瑕疵」とは何か

瑕疵とは、その物件が通常備えているべき品質や性能を欠いている状態を指します。屋根に穴が開いているような目に見える不具合だけでなく、見ただけでは判断しにくい隠れた欠陥もここに含まれます。建物の物理的な不具合から、心理的な要因まで、不動産売買における瑕疵の範囲は幅広いものです。

不動産売買における瑕疵の種類

不動産の瑕疵は、その性質によって、物理的・心理的・法律的・環境的という4つの種類に分けられます。売却活動を始める前に、自分の所有物件に当てはまる要素がないかの確認が、トラブルを避ける第一歩となります。

それぞれどのような不具合が該当するのか、順に見ていきましょう。

①物理的瑕疵

物理的瑕疵とは、物件そのものに存在する構造上や機能上の欠陥、物理的な不具合のことを指します。雨漏りやシロアリによる食害、建物を支える基礎部分のひび割れなどが代表例です。居住者の生活に直接影響を及ぼし、修理に高額な費用がかかることも多いため、不動産売買においてもっともトラブルに発展しやすい要素といえます。

②心理的瑕疵

心理的瑕疵とは、物件自体に物理的な欠陥がなくても、そこに住むことに心理的な抵抗を感じさせる要素を指します。過去にその物件で発生した事件や事故、死亡事案などが該当します。物理的な問題がなくても、不動産の価値に影響を及ぼし、伏せておくと後に大きなトラブルに発展する可能性があるため、知っている事実は漏れなく伝える必要があります。

③法律的瑕疵

法律的瑕疵とは、建築基準法などの法令に適合していない状態を指します。代表的なものには、現在の法律では再建築が認められない「再建築不可物件」が挙げられます。また、法改正により現行の基準を満たさなくなった「既存不適格建築物」も、法律的瑕疵に当たるケースがあります。このような法令上の制限に関する問題は、将来的な建て替えや売却に制約が生じるため、専門家へ調査を依頼することをおすすめします。

④環境的瑕疵

環境的瑕疵とは、物件そのものではなく、その周辺環境に起因する問題を指します。近隣の工場による騒音や悪臭などのほか、生活環境や心理面にマイナスの影響を与える施設が存在するケースも含まれます。住環境にかかわる問題は、買主の判断を左右し得る重要な情報であり主観的な要素も含むため、買主との認識の相違が生じないよう丁寧な説明が求められます。

2020年の民法改正で何が変わった? 契約不適合責任との違い

2020年4月の民法改正によって、それまでの瑕疵担保責任という名称は契約不適合責任に改められました。改正では、単に名称が変わっただけでなく、責任の性質が「隠れた瑕疵」の有無から「契約内容との一致」へと大きく転換しています。

「隠れた瑕疵」から「契約内容との不一致」へ

改正前は、売主が責任を負うのは「隠れた瑕疵」があった場合に限られていました。改正によって、売主の義務は契約の内容に適合した物件を引き渡すこととされ、買主がその不具合を知っていたかどうかにかかわらず、引き渡された物件が契約書に記載された種類・品質・数量と適合しているかどうかが、売主が責任を負う判断基準となります。

例えば、雨漏りのある物件であっても、その事実が契約書に明記され、買主がその状態を承知して購入したのであれば、売主は責任を問われません。一方、契約書に記載のない不具合が見つかった場合は契約不適合とみなされ、売主が責任を負う可能性が高くなります。

売主の責任と買主の権利

2020年の改正により、売主は契約で約束した状態の物件を引き渡す義務を、これまでよりも厳格に負うことになりました。買主にとっては、不備があった際に行使できる権利が具体化され、その範囲も広がっています。売主からすれば責任が重くなったように見えますが、契約書に物件の状態を正確に記載しておけば、不当な請求を防げるようになったともいえます。そのため、これまで以上にリスク管理が重要になります。

契約不適合責任で買主ができる4つの請求

物件に契約不適合があった場合、買主には法律上、4つの請求権が認められています。売主はこれらの請求を受ける可能性があることを念頭に置き、契約条件を慎重に検討する必要があります。

①履行の追完請求

履行の追完請求とは、物件を契約どおりの状態にするよう求める権利です。住宅売買では、主に不具合箇所の修理や補修を求める形で行われます。買主からまず提示されることが多い、もっとも基本的な解決手段といえます。売主は、自己の負担で不具合箇所を修理する義務を負います。

②代金減額請求

代金減額請求とは、不具合の程度に応じて売買代金を減額するよう求める権利です。修理そのものが不可能な不具合である場合や、売主が相当期間内に追完(修理)に応じない場合、次なる手段として選ばれることが多いです。売買価格の一部を返金する形になるため、売却後の資金計画に影響が及ぶ可能性があります。

③損害賠償請求

契約不適合によって買主に損害が生じた場合、買主はその損害を金銭で賠償するよう請求することができます。ただし、この請求が認められるには、売主に落ち度(帰責事由)があることが条件となります。修理費用以外にも、仮住まいの費用などが対象になる場合があり、金銭的な負担が大きくなる可能性がある点には注意が必要です。

④契約の解除

不適合の程度が著しく、契約の目的を達成できないほど重大な場合には、買主は契約そのものを解除できます。売主にとっては、受け取った代金を全額返金し、物件を引き取らなければならない、もっとも重い結果となります。特に建物の構造に関わる重大な欠陥を告げずにいた場合、こうしたリスクに直結するため、誠実な情報開示が欠かせません。

契約不適合責任の期間

売主が契約不適合責任を問われる期間には、一定のルールがあります。この期間を理解し、契約書で適切に定めておくことによって、売却後の長期にわたる不安を軽減することができます。

民法上の原則期間

民法の原則では、買主が種類または品質に関する不適合を知った時から1年以内に、その旨を売主に通知しなければならないとされています。この期間内に通知をしなければ、原則として買主は売主に責任を追及できなくなります。ただし、これはあくまで民法上の原則であり、実際の取引では異なる期間が定められることが一般的です。

民法の定めは任意規定

民法の売主の契約不適合責任の規定は、当事者間の合意によって変更できる任意規定です。そのため、実際の不動産売買契約では、特約によって期間を短縮したり、責任の一部を免除したりすることが可能です。個人間の既存(中古)住宅売買では、売主の負担が過大にならないよう、責任を負う期間を「引き渡しから3ヶ月」などと限定するのが実務上の通例となっています。

新築住宅の主要構造部分は10年間の特則

新築住宅の売買については、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、建物の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分について、売主が引き渡しから10年間の契約不適合責任を負うことが義務づけられています。既存(中古)住宅の取引とは責任の重さも期間も異なるため、区別して理解しておく必要があります。

契約不適合責任の免責

売主の負担を軽減する仕組みとして、買主と合意できれば、特定の条件のもとで責任を負わないとする「免責」を設定することができます。ただし、どのような場合でも免責が認められるわけではありません。

免責特約とは

免責特約とは、売買契約の中で「売主は契約不適合責任を一切負わない」、あるいは「売主が契約不適合責任を負う期間は、引き渡しから3ヶ月間とする」というような合意を指します。築年数の経った物件を現状有姿で売却する場合などに、将来のトラブルを避ける目的で活用されます。買主の合意が必要となりますが、リスクを軽減できる手段です。

免責特約が無効となるケース

免責特約を結んでいても、法律によってその効力が認められないケースがあります。免責特約が無効になれば、多額の賠償責任を負うことにもなりかねないため、以下のパターンには注意が必要です。

①売主が不具合を知りながら告げなかった

売主が、雨漏りやシロアリ被害などの不具合を知りながら、それを買主に伝えずに免責特約を結んだ場合、その不適合については免責を主張できません。誠実な情報開示は売主の最低限の義務であり、不利益な情報を隠す行為は法的に許されません。すべての情報を正直に共有する姿勢が、結果的に売主自身を守ります。

②売主が宅建業者

売主が不動産会社などの宅地建物取引業者で、買主が個人の場合は、宅建業法による規制が適用されます。この場合、買主に不利な免責特約は禁止されており、原則として引き渡しから少なくとも2年間は責任を負わなければならず、特約によって責任を完全に免れることはできない仕組みになっています。

③消費者契約法による制限

売主が宅地建物取引業者以外の事業者(法人)で、買主が個人の取引には、消費者契約法が適用されます。同法では、消費者の利益を不当に害することになる「売主は契約不適合責任を一切負わない」などの免責条項は無効とされる可能性があるため、契約相手が誰であるかの確認が重要になります。

トラブルを防ぐために売主が注意すべきポイント

契約不適合責任は、売却前にきちんと準備をしておけば、そのリスクを大きく抑えられます。実務で有効とされている対策を立てて取引を進めましょう。

特約・容認事項を契約書に定める

あらかじめ把握している不具合や経年劣化の箇所は、契約書や「物件状況確認書」へ具体的に記載しておくことが重要です。細かな傷や設備の状態まで詳しく記録し、買主が物件状況確認書の内容を承諾した上で契約を結べば、それは合意済みの内容として扱われます。契約書に記載されている内容であれば不適合を問われることはないため、後のトラブルを防ぐことができます。

契約不適合責任の通知期間を設定する

契約書を作成する際には、契約不適合責任の通知期間を「引き渡しから2~3ヶ月程度」に短縮する特約を設定することにより、売却から何年も経ってから不具合が見つかり、責任を追及されるという将来的なリスクの範囲を限定できます。長期間にわたって責任を負い続けることを避けるために、個人間売買においては欠かせない対策の一つです。

インスペクションを実施する

インスペクションとは、建築士などの専門家による建物の状況調査のことで、建物の劣化状況や補修が必要な箇所を客観的なデータとして把握できます。目に見えない部分の不具合を事前に把握できれば、調査結果を前提とした契約を結ぶことが可能となり、トラブル防止につながります。また、専門家の調査を受けた物件として買主からの信頼が高まる効果もあります。

信頼できる不動産仲介会社に依頼する

契約不適合責任への対応には、法律知識と実務経験の両方が求められます。リスクを最小限に抑える契約書の作成や適切なアドバイスの提供をしてくれる不動産仲介会社の選択が何より重要です。

優良ストック住宅推進協議会に加盟する大手ハウスメーカーで建てた住宅であれば、条件によって「スムストック認定」を受けられる場合もありますので、建築したハウスメーカーに依頼することが推奨されます。

まとめ

瑕疵担保責任から契約不適合責任への改正では、「隠れた瑕疵」の有無ではなく、「契約内容に適合しているか」が判断基準となりました。そのため、売主には物件の状態を正確に把握し、契約内容として明確に示すなど、これまで以上に透明性の高い取引が求められています。

一見すると売主の責任の範囲が重くなったように感じられるかもしれませんが、物件の状態を正しく把握し、それを隠さずに契約書に反映することで、将来のリスクを回避することができる仕組みなのです。

売主自身の身を守るために、信頼できる専門家の力を借りながら誠実な売却姿勢で臨みましょう。

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この記事を書いた人

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スムストック編集部

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