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空き家の売却はどうすればいい?
具体的なステップと相続空き家の3,000万円特別控除までを解説

目次

    ※2026年5月21日現在の法律に準じた内容です。

    相続した実家が空き家になり、そのまま維持すべきか、売却すべきかで悩む方は少なくありません。思い出がある家だからこそ判断を先延ばしにしがちですが、空き家は持ち続けるだけでも税金や管理の負担がかかり、時間の経過とともに売りにくくなってしまいます。

    本記事では、空き家を持ち続けるリスクを整理した上で、空き家を売却する方法、売却の進め方や、「相続空き家の3,000万円特別控除」が利用できる要件などを、実務の流れに沿って分かりやすく解説します。

    空き家を持ち続けるリスクとは

    空き家を売らずに保有すること自体は、ただちに問題というわけではありません。ただし、適切に管理ができない状態が続くと、経済的な負担だけでなく、社会的な責任を問われるリスクも高まります。

    建物の劣化が進行する

    人が住まなくなった家は、換気や通水が滞るため、湿気がこもりやすくなります。その結果、カビが発生したり、木部が傷んだり、設備の不具合が進んだりします。見た目に大きな問題がなくても、床下や屋根裏など目の行き届かない場所で劣化が進んでいることもあります。

    空き家の売却では、建物の状態が価格や販売方法に直結します。放置期間が長くなるほど資産価値は大きく低下し、将来的に売却する際に価格面で不利になるおそれがあります。

    管理コストが増大する

    空き家は使っていなくても、所有しているだけで固定資産税や都市計画税がかかります。庭木の剪定、雑草の除去、郵便物の整理、定期的な見回り、簡易清掃など、維持管理にかかる負担も継続的に発生します。遠方に住んでいる場合は移動費も無視できませんし、管理を委託している場合はその費用もかかります。

    空き家の管理状態が悪く、自治体から「管理不全空家」や「特定空家」に指定され、勧告を受けると、住宅用地の特例の適用対象から除外されることがあります。除外されると、固定資産税が最大6倍、都市計画税が最大3倍に税負担が大きくなります。

    防犯上の問題が発生する

    人の出入りが少ない家は、不法侵入や不法投棄、放火などの標的にされやすくなります。郵便物がたまっていたり、庭の手入れが止まっていたりすると、空き家であることが外部から分かりやすくなるためです。

    さらに、屋根材や外壁の一部が落下したり、ブロック塀が崩れたりすると、近隣や通行人に被害が及ぶ可能性があります。万が一、近隣などに被害を与えた場合、所有者として損害賠償責任を問われるリスクがあるため、空き家は「管理責任を伴う資産」として考える必要があります。

    親族間トラブルが起きる

    相続した実家が空き家の場合は、誰が管理の手間や費用を負担するのか、いつ売るのかといった点で親族間の意見が分かれることがあります。話し合いが進まないまま時間が経つと、相続人が亡くなり次の世代へ相続が発生した際に、権利関係が複雑になり解決が難しくなります。

    また、2024年4月から、相続した不動産は相続登記の申請が義務化されています。正当な理由なく期限内に申請を怠ると、行政罰の対象となり10万円以下の過料を科される可能性があるため、権利関係の整理は早めに進めておく必要があります。

    空き家を売却する5つの方法

    空き家を売却するには、主に5つの方法があります。建物の状態、立地、再建築のしやすさ、周辺の需要などによって、適している売り方は変わります。

    1.既存(中古)住宅として売却する

    建物の状態が比較的よく、一定の補修で住める見込みがあるなら、既存(中古)住宅として売る方法が基本になります。買主にとっては、建物をそのまま使えるため、暮らしのイメージを持ちやすい点が利点です。

    点検履歴やメンテナンス履歴が残っている住宅は、建物価値を訴求しやすくなります。大手ハウスメーカーが建てた住宅で、一定の基準を満たす場合は、スムストックとして認定される仕組みもあります。スムストックでは、構造躯体と内装・設備を分けて査定し、点検や補修の履歴、建物のコンディションなども踏まえ、独自の査定方式で建物価値を適切に評価します。

    2.既存住宅売買瑕疵保険を付けて売る

    既存(中古)住宅の売買では、買主は「購入後に不具合が見つかるのではないか」という不安を抱きやすいものです。その不安を和らげる方法の一つが、既存住宅売買瑕疵保険の活用です。

    一定の検査を受けた上で保険を付け、売却後に雨漏りやシロアリ被害、構造上の欠陥などが見つかった場合は、補修費用が保険でカバーされる仕組みです。保険の有無は買主の安心感につながるため、築年数がある程度経過した住宅を売る際の差別化ポイントになります。

    3.古家付き土地として売却する

    建物が古くても、利用できる状態であれば、「古家付き土地」として売る方法があります。この方法の利点は、売主が解体費用を負担しなくてよく、現状のまま引き渡せることです。

    再建築に制限がある土地や建物を残したまま活用したいニーズがあるエリアなどで、建物に住宅としての価値がある、あるいはリノベーション需要が見込める場合は、更地にするより古家付きのほうが適しているケースもあります。

    4.更地にして売却する

    建物の老朽化が進み、雨漏り、傾き、シロアリ被害などが大きい場合は、更地にして売ることを検討します。買主にとっては、解体の負担が不要になり、また土地の形状などに応じて建築計画も立てやすくなるためです。住宅用地として需要が高い地域では、早期売却につながることもあります。また、現在の土地単価では昔の区画の面積では高額になってしまうので、分割販売するケースも多く、その場合でも更地にする必要があります。

    解体してから売却まで時間がかかると、その間は建物がないため住宅用地の特例の扱いが変わり、固定資産税負担が増える可能性があります。更地渡しは有力な選択肢ですが、「建物に価値が残っていないか」を見極めた上で判断することが大切です。

    5.不動産買取を利用する

    早く手放したい、残置物の整理や内見対応の負担を減らしたいという場合は、不動産会社による買取も選択肢になります。仲介のように一般の買主を探す方法ではないため、成約までの見通しを立てやすいのが特徴です。

    一般的には仲介より価格が低くなる傾向がありますが、そのままの状態で買い取ってもらえる、売却に伴う負担が比較的少ないといったメリットがあります。契約不適合責任を免責する特約も可能です。

    相続人が遠方に住んでいる場合や、短期間で確実に現金化したい場合に適しています。

    関連記事:古い家は本当に売れる?高く売却する方法5選と注意すべきポイントを解説

    空き家売却の具体的なステップ

    空き家の売却を円滑に進める上では、不動産の名義、建物の状態、残置物、税務の確認などの事前準備が大切です。

    相続登記と権利関係の整理

    初めに確認するのは、不動産の権利関係です。名義が被相続人のままの不動産は、原則として売却できません。相続登記を済ませてから売却活動に入るのが基本です。

    複数の相続人がいる場合は、遺産分割協議を終え、売却方針と費用負担の分担も含めて、事前の合意が必要です。ここが曖昧なままだと、取引を円滑に進めることができません。

    建物のコンディション把握

    建物のコンディションを把握することも重要です。雨漏り、床の傾き、設備の故障、シロアリ被害の有無などを整理し、必要に応じてホームインスペクション(建物状況調査)の実施を検討します。建物の状態を把握することによって、既存(中古)住宅として売るのか、更地にするのかの判断もしやすくなります。

    売主が把握している不具合を買主に正確に開示することは、売却後のトラブル防止にもつながります。契約不適合責任の範囲や免責の可否は契約内容によるため、建物状況の整理は早めに進めておくと安心です。

    建物の価値を正しく評価できる会社に査定を依頼

    査定は、建物の構造や価値を正確に評価できる専門の会社に依頼することが重要です。

    比較するのは査定価格の高さだけではありません。建物をどこまで評価しているか、空き家の売却に関する専門知識があるかなども確認しましょう。

    建物価値を正しく評価してもらいたい場合は、まずはお住まいの建物価値を熟知している建てた会社に相談して、建物の適正な評価を確認してみると良いでしょう。

    媒介契約の締結と売却活動の開始

    依頼する不動産会社を決めたら媒介契約を結び、販売活動を始めます。空き家は「何を売るのか」を明確にすることが重要です。既存(中古)住宅として売るのか、更地渡しにするのかなどで、見せ方も広告内容も変わります。

    売却方針やターゲットが整理されていると、販売戦略も立てやすくなります。既存(中古)住宅の魅力をアピールするのか、リノベーション向けに訴求するのか、建て替え用地として打ち出すのかで、写真や説明文の方向性は大きく異なります。

    内見時の準備と清掃・荷物整理

    購入希望者が実際に物件を確認する内見は、成約を左右します。空き家は生活感がない分、汚れやにおい、傷みが目立ちやすい傾向があります。内見前には換気、簡易清掃、庭の手入れを行い、第一印象を整えることが大切です。残置物が多い場合は、あらかじめ整理しておくと室内が広く見えます。

    売買契約の締結

    買主との間で条件がまとまったら、不動産売買契約を締結します。価格だけでなく、引き渡し時期、残置物の処理、境界の確認、契約不適合責任の扱いなども重要な項目です。空き家は個別事情が多いため、細かな条件こそ書面で確認しておく必要があります。

    決済・引き渡し

    決済では、売買代金の残額の受領、鍵の引き渡し、所有権移転登記の手続きを行います。買主との固定資産税・都市計画税の精算、不動産会社への仲介手数料の支払いもこの段階で処理されるのが一般的です。

    相続空き家の3,000万円特別控除とは

    相続した空き家を売って利益が出た場合、その譲渡所得から一定額を控除できる特例があります。これが、いわゆる「相続空き家の3,000万円特別控除」です。要件を満たせば税負担を大きく抑えられる可能性があるため、制度の内容を把握しておくことが重要です。

    特別控除の概要

    正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といい、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。相続や遺贈で取得した空き家とその敷地を売却した場合に、一定の要件を満たせば適用できます。

    適用要件の詳細

    この特例には、詳細な要件が定められています。主な要件としては、以下のものがあります。

    • 原則として、被相続人が亡くなる直前まで一人で住んでいた家であること
    • 1981年5月31日以前に建築されていること
    • 区分所有建物登記がされている家屋でないこと
    • 売った人が相続または遺贈により取得した相続人であること
    • 相続から売却までの間に事業用・賃貸用・居住用に使っていないこと
    • 売却代金が1億円以下であること
    • 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
    • 原則として、一定の耐震基準を満たす改修を行うか、更地にして売却すること(※2024年1月1日以降の売却では、引き渡し後に買主が翌年2月15日までに耐震改修や解体を行った場合も対象となります)
    • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと

    詳細は、「国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を確認してください。

    特別控除の注意点

    この特例は、要件をすべて満たさないと使えないため、早い段階で不動産会社や税理士に確認しながら進めるようにしましょう。なお、被相続人が老人ホームなどに入所していたときでも、一定の条件を満たせば対象となる場合があります。

    また、適用を受けるためには確定申告が必要で、市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」を取得しておかなければなりません。

    なお、控除額は一人あたり3,000万円までですが、相続人が3人以上で取得しているケースは、控除上限が一人あたり2,000万円になります。この点は誤解が多いため、共有名義の売却では注意が必要です。

    空き家をスムーズに売るためのポイント

    空き家をスムーズに売却するには、価格だけでなく「どう見せるか」「誰に売るか」も重要になります。

    リノベーション需要を視野に入れたターゲット設定を行う

    築年数が古い家でも、立地や間取り、構造次第では、リノベーション前提で探している買主に訴求できることがあります。その場合、無理に改装するより、素材としての魅力を伝えるほうが効果的です。

    古家付き土地でも、建物の状態や改修イメージを丁寧に示せば、新たな価値を見いだしてもらえる可能性が高まります。建物価値が認められる可能性がある住宅なら、まずは建物を含めた査定を受けることが重要です。

    空き家の売却に強い不動産会社に依頼する

    空き家の売却では、残置物、境界、解体、税制特例などの問題が重なりやすくなります。単に査定価格を高くつける会社よりも、空き家の取り扱いの実績がある会社を選ぶほうが、スムーズに売却を進めやすいといえます。

    さらに、建物の構造やこれまでの状況を最も把握している「家を建てたハウスメーカー」は、その家の適正な価値を見出せるため、空き家売却における非常に心強いパートナーとなります。

    空き家バンクや補助金の活用も考える

    地域によっては、自治体の空き家バンクに登録することで、移住希望者や古民家活用を考える層に情報を届けられます。一般の不動産ポータルサイトとは異なる層に届くため、エリアによっては有効な販路になります。

    また、解体費用や改修費用に対する補助金制度を用意している自治体もあります。内容や条件は自治体ごとに異なるため、売却前に確認しておくことで、既存(中古)住宅として売るか、更地にするかの判断材料が増えます。制度の有無は、自治体窓口や地域の不動産会社に早めに確認するとよいでしょう。

    まとめ

    相続した空き家は、持ち続けるだけでも管理や税金の負担がかかり、判断を先延ばしにするほど選択肢が狭まります。まずは相続登記を済ませ、建物の状態と市場ニーズを把握した上で、「既存(中古)住宅として売る」「古家付き土地で売る」「更地にして売る」のどれが適しているかを見極めることが大切です。

    既存(中古)住宅として売却する場合は、スムストックのように点検や履歴を踏まえて建物価値を適正に評価する仕組みもあるため、大手ハウスメーカーで建てた住宅の場合は、施工した会社に確認することをおすすめします。

    この記事を書いた人

    スムストック編集部
    スムストック編集部
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