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中古住宅を購入する際はここに注意!
見極め方を解説

目次

    ※2024年12月23日現在の法律に準じた内容です。

    中古住宅を購入する際は、注意すべき項目が多く何から確認すればよいか気になる方も多いのではないでしょうか。

    そこで今回は、中古住宅を購入する際の注意点を紹介します。中古住宅の見極め方も解説しますので、中古住宅の購入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

    中古住宅を購入するメリット      

    まずは、中古住宅を購入するメリットを説明します。

    安く住宅を購入できる

    中古住宅は、新築よりも条件のよい物件を安く購入できます。国土交通省の「令和5年度 住宅市場調査 報告書」によると、中古住宅の購入理由においてもっとも割合が大きかったのが「価格が適切だったから」でした。すなわち、中古住宅の安さを理由に購入している方が多いということであり、新築よりも安価なことは非常に大きなメリットといえます。また、家具やエアコンなどがついた状態で売り出されている場合は設備費の節約も可能です。

    さらに、中古住宅は流通量が多いことから、ライフスタイルに合わせて間取りや広さを選びやすいメリットもあります。最近では、中古住宅の購入後にリノベーションを行う人も多く、予算に余裕があれば外装や内装の改修を検討するのもよいでしょう。

    実際に住宅を見られる

    中古住宅はすでに建築されている住宅なので、物件を実際に見て確認できるメリットもあります。売主が住んでいる状態で確認ができれば、購入後の生活風景をイメージしやすい点も魅力の一つです。また、最新設備への変更を希望する場合は、リフォームで新築のような空間をつくることも可能です。

    なお、隣家との境界が分かりにくい場合は、測量をして権利関係を契約書で取り決めておくとよいでしょう。

    事前に生活環境を調べられる

    中古住宅を購入する際は、近隣住民や周辺の施設、交通の便などの情報を事前に調べられます。中古住宅の購入エリアを検討する場合は、以下の情報を収集するとよいでしょう。

    • 地価相場
    • 地盤
    • ハザードマップ

    また、購入エリアの生活環境を調べる際は、日常的に使用するルートを通り、生活上の問題点がないか確認することも大切です。

    現地に出向くのが難しければ、不動産会社へ相談したりインターネットで検索したりするのもよいでしょう。マンションの中古住宅を購入する場合は、共用部分の管理状態や住民の様子を把握することをおすすめします。

    リフォームで自分の好みにできる

    中古住宅は、自分好みにリフォームできるメリットもあります。築15年前後の物件であればリフォームせずに問題なく使用できるケースも多いですが、設備の劣化が進んでいる場合は、ライフスタイルに合わせてリフォームを検討するとよいでしょう。国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向 報告書」によると、リフォームの平均費用は約112万円で、自己資金比率は約8割でした。また、築年数20年以上の物件は、住宅そのものをリフォームする必要がある可能性があることから、リフォーム費用が500万円を超える場合もあります。そのため、中古住宅のリフォームを検討する際は、リフォームにかかる具体的な金額を事前に把握しておくことが大切です。

    なお、中古住宅の購入とリフォームを同時に検討している場合は「リフォーム一体型ローン」の利用をおすすめします。リフォーム一体型ローンは返済期間や金利が住宅ローンと同じで、リフォームローンよりもリフォーム資金の返済額を抑えることができます。ただし、リフォームローンよりも返済期間が長く、支払利息の総額が高くなりやすい点にご注意ください。

    中古住宅を購入するデメリット

    ここからは、中古住宅を購入するデメリットを解説します。

    修繕が必要になることがある

    中古住宅の構造は表面から状態を確認できないので、柱や梁などの骨組みが傷んでいれば、修繕が必要になることがあります。住宅設備の老朽化やメンテナンスが不十分な場合は、購入後に修繕しなければならないケースもあるでしょう。また、中古住宅は新築よりも修繕のタイミングが早く、一戸建ての場合は、築10年を超えると修繕費用が大きくなりやすい傾向があります。住宅を修繕する時期の目安は以下のとおりです。

    • 屋根:約15年
    • 外壁塗装:約15年
    • クロスの張り替え:約10年
    • 水回り:約20年
    • キッチン:約10~15年
    • 給水管・下水管:約10~15年

    修繕費用は数百万円かかる場合もあるので、中古住宅を購入する際は修繕費用を含めた資金計画を立てておくとよいでしょう。なお、マンションの中古住宅は、新築よりも修繕積立金が高くなりやすい点にも注意が必要です。

    住宅ローン控除が受けられないことがある

    住宅ローン控除は、住宅(土地・建物)の取得資金に充てるための借入金があるとき、確定申告をすることで、その借入金の年末残高の一定割合に相当する額が一定期間、各年の所得税額化が控除される制度です。中古住宅で住宅ローン控除を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

    • 新耐震基準に適合している
    • 自身が居住する住宅である
    • 住宅ローンの借入期間が10年以上
    • 合計所得金額が2,000万円以下
    • 住宅の取得後6カ月以内に入居している
    • 併用不可の特例(居住用財産の譲渡にかかる3,000万円特別控除など)を受けていない

    なお、住宅ローンを組む場合、金融機関では中古住宅の担保価値は低く評価されるので、中古住宅の住宅ローンの審査は厳しくなる傾向があります。

    古い住宅は耐震性に注意が必要

    中古住宅を購入する際は、耐震性にも注意が必要です。住宅は建築確認を申請した年代で耐震基準が異なり、1981年5月以前に建てられた住宅は旧耐震基準が適用されており、震度5強程度の地震で倒壊しないという基準になっていました。

    しかし、1981年6月以降は新耐震基準が制定され、震度5強の地震で損傷せず、震度6~7の地震でも倒壊しない住宅を建てることが義務付けられました。また、木造住宅の耐震性については、2000年6月以降は改正建築基準法が施行されています。そのため、中古住宅を購入する際は建築確認を申請した年代を確認して、耐震性に問題がないか調べておくことが大切です。

    中古住宅を購入する際の注意点

    ここで、中古住宅を購入する際の注意点を紹介します。

    これだけは譲れない!と思えるポイントを考える

    中古住宅を購入する際は、予算の概算とあわせて、エリアや物件タイプ、間取りなどの条件を書き出すことで、中古住宅に求める具体的な項目が分かってきます。

    ただし、条件をすべて満足する物件を探すことは難しく、項目を増やしすぎると中古住宅を選びにくくなってしまいます。そのため、中古住宅の購入で条件を書き出す際は、必須条件と希望条件に分けて整理するのがおすすめです。そうすれば、譲れないポイントと妥協できるポイントが明確になります。

    住宅の購入以外にかかる費用を考える

    中古住宅は、住宅の購入だけでなく修繕などにも費用がかかります。購入費だけで資金計画を立てると、総額が予算を大きく上回る可能性もあるので、中古住宅の購入にかかる具体的な金額を事前に考えておくことが大切です。

    たとえば、中古住宅の購入には以下の諸費用もかかります。

    • 仲介手数料
    • 不動産取得税
    • 火災保険・地震保険料
    • ローン事務手数料
    • 抵当権の登記費用
    • 印紙税

    特に、仲介手数料は、一般的には(売買価格×3%+6万円)+消費税が目安で、大きな割合を占めます。不動産会社が売主になっている物件を選ぶことで、諸費用を節約できる場合もあります。

    契約不適合責任の内容を必ず確認しておく

    契約不適合責任とは、売主が買主に引き渡した物件に契約の内容に適合しない不具合があった場合に売主が負う担保責任のことをいいます。この場合は売主の債務不履行となり、買主は売主に対して追完請求や代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除を求めることができます。

    この契約不適合責任では、売主が責任を負う期間が重要です。民法では買主が不適合を知って1年以内に売主に通知すれば売主の責任を追及できることになっていますが、一般的に中古住宅の売買においては、特約によってこの期間を短く設定しています。売主が不動産会社の場合は2年間、個人間で中古住宅の取引を行う場合は2~3カ月間程度が一般的とされています。また、契約によって売主が担保責任を負わないケースもありますので、注意しなければなりません。

    このような契約不適合責任の範囲や期間は売買契約書に明記されていますので、必ず売買契約書の内容を確認し、売買契約書の内容に不安な点があれば、不動産会社や売主に条項の追加を依頼しましょう。

    なお、中古住宅を購入する際に長期的な瑕疵保証を希望する場合は「既存住宅売買瑕疵保険」を利用するのがおすすめです。既存住宅売買瑕疵保険は、対象の住宅が専門の検査員による調査に合格すると加入でき、中古住宅の購入後に不具合や欠陥が見つかった場合に修繕費などが支払われる保険です。中古住宅の購入に不安がある方は、既存住宅売買瑕疵保険への加入を検討するとよいでしょう。

    目に見えない部分も確認しておくこと

    中古住宅を購入する際は、屋根裏や床下などの目に見えない部分も確認する必要があります。住宅の状態を正確に判断するのは難しいため、住宅診断の専門家にホームインスペクションを依頼するのもおすすめです。

    ホームインスペクションとは、専門家が住宅の状態を調査して、問題点の報告や修繕のアドバイスを行うことをいいます。所要時間は2~3時間、費用は5~10万円ほどが相場ですが、中古住宅に問題点がないか客観的に判断してもらえるため、欠陥住宅を購入するリスクを避けることができる点がメリットです。

    また、中古住宅を購入する際は、物件が売りに出された理由を把握しておくことも大切です。物件のなかには特別な事情があって売りに出されている場合もあります。特に、相場よりも安い物件は重大な理由(近隣住民とのトラブル・修理回数の多さなど)が隠されている可能性もあります。売りに出された理由をうやむやにされる場合は、管理会社と前の入居者との間に問題があった可能性もあるので、周辺地域の情報などを確認して理由を探るのもよいでしょう。

    物件選びのポイント

    ここからは、物件選びのポイントを解説します。

    耐震性

    日本では、耐震性を見極めて物件を選ぶことが大切です。住宅の耐震性は耐震基準や地盤の強度で確認でき、また住宅性能表示制度に基づく耐震等級が示されていれば、耐震性をより分かりやすく判断できます。

    購入する中古住宅の地盤を調べる際は、ジオダス(住宅地盤情報提供システム)や国土交通省が運営するハザードマップを利用するのもよいでしょう。また、旧耐震基準で建てられた住宅は大規模地震で倒壊するリスクもあるので、建物の建築時期や築年数を参考に耐震基準も併せてご確認ください。

    間取り

    中古住宅を購入する際は、今後のライフプランに適した間取りを選びましょう。中古住宅のリノベーションで間取りを大幅に変更する場合は、変更自由度の高い「木造軸組工法」(柱と梁で組まれている工法)の物件を選ぶのがおすすめです。

    または、買い替えを前提で中古住宅を購入する場合は、売り出しやすい間取りの物件を選ぶとよいでしょう。

    なお、購入する中古住宅に柱や壁を撤去・移動させた経歴がある場合は、以下の内容も併せて確認しておくと安心です。

    • 新築当時の設計図
    • 耐震診断の報告書
    • 耐震改修や補強計画の図面・指示書
    • リフォーム工事の写真

    これまでの修繕歴

    中古住宅を購入する際は、これまでの修繕歴から違法建築でないことを確認する必要もあります。違法建築とは、建築基準法または建築基準法に基づく法令・条例に違反した建築物のことをいい、建築当初から該当する物件と増改築により該当する物件があります。

    そのため、購入予定の中古住宅があれば「検査済証」で違法建築かどうか確認しておくことが大切で、これにより増築や用途変更が可能なことを確認できるメリットもあります。なお、検査済証のある中古住宅は、現行法に適合していない場合でも建築時点では適法であったことを証明できるため、金融機関で融資を受けられる場合もあります。

    また、中古マンションの修繕歴は、長期修繕計画や管理規約を参考に、過去に実施された大規模修繕の時期や内容、修繕積立金の残高を確認するとよいでしょう。

    増改築について

    中古住宅の一軒家は基本的に増改築が可能ですが、敷地が以下のいずれかに当てはまる場合は、「再建築不可物件」と見なされ、建て替えや増改築が制限されます。

    • 都市計画道路の予定地
    • 前面道路が建築基準法に適合していない(幅員が4m未満)
    • 前面道路との接道が2m未満

    再建築不可物件は、入居期間が短い場合などには支障はなく、安く購入できるメリットもありますが、住宅ローンを利用するのが難しい点にご注意ください。

    なお、マンションの中古住宅を購入する場合は、ライフスタイルに合わせて間取りを変更する可能性についても考えましょう。将来貸し出す予定があれば、社会情勢に適した間取りでリフォームを行うのもおすすめです。ただし、窓やバルコニーなどは共用部分に該当し、自身の判断だけで増改築ができない点にご注意ください。

    周辺環境について

    中古住宅を購入する際は、周辺環境もよく調べましょう。駅や病院、商業施設のアクセスだけでなく、近隣住民や治安情報も把握しておくと安心です。

    また、ネットの情報をそのまま受け取らず、実際に歩いて周辺環境を確認することで、車の通りや危険な箇所など、周辺環境の不安点をより正確に実感できるケースもあります。特に、中古住宅の周辺環境は時間帯や平日・休日の影響で印象が変わる可能性もあるので、複数の日程で調べるのがおすすめです。

    隣接する土地が広ければ、商業施設が建てられる場合もあるので、中古住宅が周辺環境の影響を受ける可能性がないか予想するのもよいでしょう。

    内見時に確認しておくべきこと

    ここで、内見時に確認しておくべきことを解説します。

    室内の設備

    中古住宅の室内を内見する際は、以下の設備を確認しましょう。

    • 窓やドアの建て付け
    • 収納
    • 水回り(キッチン・トイレ・浴室・洗面所)
    • コンセントの位置や数
    • 備え付け器具(インターホン・ガス給湯器など)

    入室の際はスリッパを履かず、床のきしみ具合を確認するのもおすすめです。また、水回りにカビの発生や木くずが確認できる場合は、シロアリ被害にご注意ください。

    シロアリ被害を受けた住宅は、大規模な損傷があれば数百万円の補修費用が必要です。また、放置しておくと、地震などで建物が倒壊するおそれもあります。

    室内の設備は過去の入居者や築年数によって劣化具合が異なるので、内見時の使用状況や汚れ具合からリフォームが必要か判断するとよいでしょう。

    外装

    外装のメンテナンス状況を確認すると、今後どの程度修繕費用がかかるか判断できます。外壁や屋根のメンテナンスは20年に1回行うのが一般的ですが、日当たりや自然災害の影響で変動する可能性もあるので、ひび割れや欠けている部分がないかよく確認することが大切です。

    また、屋根を確認する際は、双眼鏡などを使用して、瓦や屋根板に破損箇所やずれがないか確認しましょう。外壁は、塗装のはがれやひび割れ、軒天の様子をチェックしてください。

    なお、基礎に0.5mm以上のひび割れがある場合は、ホームインスペクションにおいて「劣化あり」と判断されるため、耐久性に注意する必要があります。

    まとめ

    中古住宅を購入する際は、エリアや価格などの優先順位を決めて検討しましょう。物件の見えない部分を調査する場合は、ホームインスペクションで構造上の問題点がないか客観的に評価してもらうのもおすすめです。

    この記事を書いた人

    スムストック編集部
    スムストック編集部
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