16

住宅ローンの残っている家を売って新居を買いたい!
4つの方法と注意点を解説

目次

    ※2025年8月20日現在の法律に準じた内容です。

    お子様が成長するにつれて、現在の住まいが手狭に感じられ、住み替えをしたいと思う方もいるのではないでしょうか。一方、「住宅ローンが残っていても家を売れるの?」「新しい家を買うことはできるの?」と不安に思っている方もいるかもしれません。

    実は、ローンが残っていても、今の家を売却して新しい住まいを購入することは十分可能です。この記事では、住宅ローン返済中でも住み替えを実現する4つの代表的な方法と、注意点を分かりやすく紹介します。住み替えの流れや資金計画の立て方が明確になりますので、ぜひ参考にしてください。

    住宅ローン返済中でも家の売却&新居購入は可能?

    住宅ローンが残っていても家の売却や新居の購入は可能です。ただし、そのためにはいくつかの条件や選択肢を理解しておく必要があります。ここでは、住宅ローンが残っている場合の基本的な考え方について解説します。

    売却代金で住宅ローンを完済できる場合は売却可能

    自宅の売却代金が住宅ローンの残債を上回っている状態を「アンダーローン」といいます。アンダーローンの場合、その売却代金でローンを完済し、新居を購入できます。

    住宅ローンを利用している場合、自宅には金融機関の抵当権が設定されています。そのため、売却するには住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。抵当権が抹消されない限り、原則としてその物件は売却できません。

    アンダーローンの場合は、ローン完済と抵当権抹消によってスムーズに住み替えができるのです。

    住宅ローン残債が売却代金より多い場合はどうなる?

    自宅の売却代金が住宅ローンの残債を下回っている状態を「オーバーローン」といいます。オーバーローンの場合、売却代金ではローンを完済できず抵当権を抹消できないため、そのままでは自宅を売却できません。

    オーバーローンの状態で住み替えを進めるには、ローン完済のための不足分を自己資金で補う方法のほかに、「住み替えローン」を利用して、現在の住宅ローンの残債と新居の住宅ローンをまとめる方法も考えられます。

    なお、住宅ローン残債は、金融機関から送付される「残高証明書」や「返済予定表」で確認できます。オーバーローンから住み替えを進めるには、早めの準備と対策が必要です。

    次の章では、住宅ローン返済中に家を売却して住み替える具体的な方法について解説します。

    住宅ローンの残債がある家を売却して新居を購入するための4つの方法

    住宅ローンの残債がある状態で住み替えを進める際、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、代表的な4つの方法について、それぞれの特徴と注意点を見ていきます。

    ① 売却代金で住宅ローンを一括返済して新居を購入する

    前述のとおり、アンダーローンであれば売却代金で住宅ローン残債を一括返済し、抵当権を抹消します。例えば、住宅ローン残債が2,500万円で自宅の売却代金が3,000万円といったケースでは、ローン完済後も500万円が手元に残ります。

    これは、売却代金でローン残債を精算できるため、住み替えの中でもリスクが低い方法です。ローン完済後に残る資金は新居の購入資金に充当でき、資金計画も立てやすくなります。

    ② 売却代金と自己資金で住宅ローンを完済して新居を購入する

    オーバーローンの場合、売却代金だけでは住宅ローンを完済できません。ローン残債を精算するためには、不足分を自己資金で補う必要があります。例えば、ローン残債が3,000万円、売却代金が2,500万円の場合、不足する500万円を自己資金で充当できれば売却が可能となります。

    これは、自己資金に余裕があり、不足分を補えれば、売却のために新たな借り入れをせずに済むため、返済負担が増える心配もありません。

    ただし、この方法はまとまった資金が必要となります。自己資金の準備が難しい場合は、ほかの方法を検討する必要があるでしょう。

    ③ 住み替えローンを利用して新居を購入する

    「住み替えローン」とは、現在の住宅ローンの残債と新居の購入資金をまとめて借り入れできるローンです。住み替えローンを利用すれば、オーバーローンのケースや、自己資金の用意が不十分な場合でも住み替えが可能です。

    住み替えローンの利用にあたっては、自宅の売却と新居の購入を同日に行う必要があります。自宅の住宅ローン完済による抵当権の抹消と、新居購入に伴う新規ローンの抵当権の設定を行う都合上、同じ日に決済を行わなければならないためです。新居購入のスケジュールがタイトになる点を考慮しておきましょう。

    住み替えローンは、通常ローンよりも諸費用が多額になる点も要注意事項です。

    ④ つなぎ融資を利用して新居を購入する可能性

    自宅の売却より先に新居を購入する方法を「買い先行」といいますが、この場合、新居の住宅ローンと自宅(旧宅)の住宅ローンのダブルローンとなってしまいます。これを避けるために、「つなぎ融資」を利用することもできます。つなぎ融資とは、新居の購入や建築にあたって、旧宅がまだ売却できていない間の資金を融通する融資制度です。

    つなぎ融資は旧宅の売却によって精算するため、借入期間は数カ月から1年程度と短いのが特徴です。また、一般の住宅ローンより金利が高いため、利用にあたっては注意が必要です。

    住宅ローン返済中の家を売って新居を買う際の流れ

    住宅ローンが残っている家を売却して新居を購入する際には、いくつかの進め方があります。ここでは、「売り先行」「買い先行」「同時進行」のケースにおける具体的な流れと、メリット・デメリットを解説します。

    売り先行のケース

    「売り先行」は、現在の住まいを先に売却し、その後に新居を購入する方法です。売却代金を新居の購入資金に充てられるため、資金計画を立てやすいのが大きな特徴です。

    売り先行の基本的な流れは、次のとおりとなります。

    1.自宅の売却開始

    不動産仲介会社に査定を依頼し、売却活動をスタートさせます。この段階で、おおよその売却額を把握し、住み替えの資金計画を立てることができます。

    2.売買契約の締結

    買主が見つかったら、売買条件に合意した上で契約を結びます。契約締結後、買主から手付金を受け取ることが一般的です。

    3.物件の引き渡し

    買主から残代金を受け取り、自宅を引き渡します。この時点で、住宅ローンを一括返済し、抵当権を抹消します。引き渡し前には、引っ越しを完了させておきます。

    4.新居探し

    売却代金が確定した後に、新居探しを開始します。売却によって手元に残る資金が明確になっているため、無理のない予算で物件を選ぶことができます。

    5.新居の売買契約

    希望する物件が見つかれば、新居の売買契約を結び、手付金を支払います。住宅ローンを利用する場合は、金融機関に申し込みます。

    6.新居の引き渡し

    新居の残代金を決済し、新しい住まいの引き渡しを受けます。

    売り先行のメリットは、売却価格が確定してから新居を選べるため、資金計画が立てやすく、無理のない購入がしやすい点です。

    一方で、自宅を先に手放すことになるため、新居が見つかるまでの間は仮住まいが必要です。それに伴い、引っ越しも2回必要になります。仮住まいのための賃貸住宅の家賃や引っ越しの手間が発生する点はデメリットといえます。

    買い先行のケース

    「買い先行」は、先に新居を購入し、その後に現在の住まいを売却する方法です。気に入った物件を逃すことなく購入できるため、希望条件に合う物件が少ないエリアでの住み替えに適しています。

    「買い先行」の住み替えの一般的な流れは、次のとおりです。

    1.新居探し

    現在の自宅に住んだまま、希望条件に合う新居を探します。売却を気にせず、時間をかけてじっくり検討できます。

    2.新居の売買契約

    新居の購入を決定し、売買契約を結びます。この段階で、新しい住宅ローンを組みます。

    3.新居の引き渡し

    新居の鍵を受け取り、引っ越しを行います。

    4.自宅の売却開始

    自宅の売却活動を始めます。引っ越し後なので、内見対応もスムーズに行えます。

    5.売買契約の締結

    買主が見つかったら、条件を調整した上で、売買契約を締結します。

    6.物件の引き渡し

    自宅の代金を受け取り、買主に物件を引き渡します。この代金で、旧宅の住宅ローンを一括返済します。

    「買い先行」のメリットは、仮住まいを用意する必要がなく引っ越しが1回で済むため、住み替えがスムーズに進められる点です。また、時間をかけて新居探しができるのに加え、引っ越し後に落ち着いて売却活動ができるため、内見対応などもよりしやすくなります。

    注意点としては、住宅ローンを返済中の状態で新たなローンを組むため、ダブルローンが発生し家計に大きな影響を与えることです。買い先行での住み替えは、ある程度の資金的余裕が前提といえるでしょう。

    同時進行のケース

    自宅の売却と新居の購入を同時に進める方法では、現在の住まいの売却活動を行いながら、新居探しや売買契約も並行して進めます。

    売却と購入を同時に行うことで手間や時間を削減できる点がメリットです。また、売却と購入のタイミングをうまく調整できれば、仮住まいが不要になる可能性もあります。

    住み替えにおいては理想といえる方法ですが、売却と購入のタイミングを綿密に調整する必要があり、スケジュール管理が非常に重要になります。希望するタイミングで新居が見つからない場合は売り先行となりますし、旧居の売却が遅れれば買い先行となります。

    住宅ローン返済中の家を売って新居を買う際の注意点

    住宅ローンの残債がある状態で住み替えを進める際には、いくつか注意すべき点があります。

    査定価格と売却価格は異なる場合がある

    不動産仲介会社から提示される査定価格は売却想定価格であり、必ずしも実際の売却価格とイコールではありません。査定価格で売却できればよいのですが、市場の状況や物件の状態によっては査定価格を下回るケースもあるため、その点を考慮して余裕をもった資金計画を立てておくことが大事です。

    査定には「机上査定」と「訪問査定」があります。机上査定は実際の物件を見ないため、あくまで概算の価格です。一方、訪問査定は不動産仲介会社の担当者が実際に物件を訪問し、詳細な調査を行うため、精度の高い価格となります。

    売却・購入どちらにも諸費用が発生する

    自宅の売却と新居の購入には、それぞれ諸費用が発生します。売却と購入に伴う諸費用を事前に把握し、資金計画に含めておくようにします。

    売却時に発生する諸費用としては、仲介手数料、印紙税、登記費用、譲渡所得税(売却益があった場合)などが挙げられます。

    購入時に発生する諸費用は、不動産取得税、固定資産税、印紙税、登録免許税、登記費用、住宅ローン保証料、火災保険料などがあります。

    不動産仲介会社を利用した場合は、売却時と同様に仲介手数料を支払います。

    住み替えローンやつなぎ融資を利用する場合は、借り入れに伴う事務手数料や保証料が通常のローンより高額になりやすい点にも注意が必要です。

    住み替えローンの審査が厳しい

    また、住み替えローンは、新居の購入資金に加えて現在の住宅ローン残債もまとめて借り入れるため、審査が厳しくなる傾向があります。必ずしも誰もが利用できるわけではなく、審査に通らなければ新居の購入は難しくなります。

    住み替えローンを取り扱う金融機関は通常の住宅ローンに比べて限定されているため、事前に金融機関を調べておきます。審査に通らなかった場合に備えて、自己資金を増やしておく、購入する新居の価格帯を見直すなどの代替案も考えておきましょう。

    まとめ

    住宅ローンが残っている家を売却して、新居を購入することは可能です。複数の方法や進め方があるため、ご自身の状況に合った選択をしましょう。

    売却の準備段階で、自宅が「スムストック」に該当するか確認するのもおすすめです。スムストックとは、大手ハウスメーカー10社が設立した「優良ストック住宅推進協議会」の基準を満たした優良な住宅です。

    スムストック物件は信頼性が高いため、売却価格の向上など、よりよい条件での売却が期待できます。

    住み替えを検討している際は、まずは、適正な評価を確認するためにも建てた会社に相談して査定を依頼し、専門家の話を聞いてみましょう。

    この記事を書いた人

    スムストック編集部
    スムストック編集部
    スムストックの公式ブログです。おうちに関する情報をお届けいたします。
    既存(中古)住宅の売却・購入ならスムストックにお任せください!

    関連記事

    AreaPDFバナーClose AreaPDFバナー