※2025年3月31日現在の法律に準じた内容です。
平屋には、昔ながらの和風なイメージがある方もいるかもしれませんが、今の平屋はデザインや機能性が進化し、幅広い世代に人気があります。ただし、シンプルな暮らしや動線のよさ、将来を見据えた住みやすさなど、魅力がたくさんある一方で、平屋ならではの注意点もあります。
本記事では、平屋のメリットと気をつけたい点を紹介し、快適な平屋の住まいを実現するためのポイントについても解説していきます。
まずは、平屋とはどのような住宅なのか、特徴や魅力を紹介します。
平屋とは、建物が1つのフロアだけでつくられた家のことです。すべての部屋が同じ階にあり、階段を使わずに家の中を移動できることが特徴です。昔の日本では平屋が一般的でしたが、土地の有効活用のために2階建てや3階建ての家が増え、一時は少なくなりました。
しかし、暮らしやすさやおしゃれなデザインが支持され、近年また人気が高まっています。
以前は、通勤の便利さを重視して都心のマンションを選ぶ人が多い傾向にありましたが、リモートワークが普及したことで、郊外に広い土地を確保して平屋を建てるケースが増えてきています。特に、小さな子どもがいる家庭や老後の暮らしを考える人たちにとって、階段がなく移動しやすい平屋は魅力的な住まいです。
そのため、もともとはシニア層に支持されていた平屋ですが、最近では20代・30代の若い世代にも選ばれています。実際に、平屋の建築数は年々増加しており、これからも人気は続きそうです。
平屋には暮らしやすさにつながるさまざまな魅力があります。ここからは、平屋のメリットを見ていきましょう。
平屋は階段がないため、家の中の移動がスムーズで、将来的にも安心して暮らせます。健康なうちは気にならなくても、高齢者や障害者にとっては階段の上り下りが負担になることもあります。しかし、最初から平屋を選んでおけば、そうした心配を減らすことが可能です。
また通路を広めに確保したり、段差をなくしたりといった工夫もしやすく、万が一、車椅子や歩行器が必要になった場合も快適に暮らせます。さらに、小さなお子様がいるご家庭にとっても、階段での転落リスクがなく安心です。
平屋は、すべての部屋がワンフロアにまとまっているため、家の中をスムーズに移動でき、日常の動きが効率的になります。階段を上り下りする手間がなく、家事の負担を減らせることもポイントです。例えば、キッチンの近くに洗面室やランドリースペースを配置すれば、料理をしながら洗濯や掃除を同時に進めやすくなるでしょう。
また、帰宅後すぐに手を洗ったり、リビングを通らずにスムーズに寝室へ行けるようにしたりと、暮らしに合わせた動線をつくれます。
どこにいても家族の存在を認識しやすく、コミュニケーションがとりやすいことも平屋のメリットです。特に、子育て中のご家庭では親の目が届きやすく、安心して過ごせる環境をつくれます。
また、リビングを中心にした間取りにすれば、子どもが成長して自分の部屋を持つようになっても、リビングを通るたびに自然と会話が生まれるでしょう。廊下を減らしたオープンなつくりにすることで、より一体感のある空間が生まれます。
平屋は、2階建てに比べてメンテナンス費用を抑えやすいこともメリットです。例えば、外壁や屋根の修繕をするとき、2階建てだと高い足場を組む必要があり、その分費用がかさみますが、平屋なら建物の高さが低く、足場が不要または最小限で済みます。
また、給排水管や電気配線などの設備もすべて1階にあるため、点検や修理がしやすく、管理の手間も少なめです。さらに、冬に暖気が2階に逃げることがなく、夏も冷房が効きやすい平屋は、年間の光熱費等ランニングコストも抑えやすくなります。
一方で、屋根を修繕する際には面積が大きい分費用がかかることがあり、その点では注意が必要です。
平屋は2階建てに比べて床下の利用できる面積が広くとれることもメリットです。平屋は十分な床下空間を確保でき、収納スペースとしてだけでなく、床下エアコンの設置などもしやすくなります。吹き抜けなどの開放的な空間も平屋との相性がよいものの、エアコンだけでは冷暖房が利きづらい可能性があります。しかし、床下エアコンを使うことで、全体的に効率よく室温を調整しやすくなるでしょう。
平屋は、広々とした開放的な空間をつくりやすいこともメリットです。屋根の形状を活かした勾配天井にするなどの工夫で上に抜けるような広がりが生まれ、実際の面積以上にゆったりとした開放感を生み出すことができます。
さらに、大きな窓を取り入れることで、部屋全体が明るくなり、気持ちよく過ごせる空間にすることも可能です。柱や壁の制約が少ないため、リビングを広くとったり、オープンな間取りにすることも簡単にできます。
平屋には多くのメリットがありますが、いくつかの注意点もあります。まず、すべての部屋を1階に配置するには、それなりの広さの土地が必要です。特に都市部では土地の価格が高く、希望の広さを確保するのが難しいこともあるかもしれません。
また、平屋は全ての部屋が1階にあるため、周囲を2階建て以上の建物等に囲まれてしまうと、日当たりや風通しが悪くなることも考えられます。さらに周辺からの視認性が良いため、プライバシーの確保や防犯対策も検討する必要があるかもしれません。
平屋は、ちょっとした工夫をするだけで、より快適に暮らせるようになります。ここでは、間取りを設計する際、【おすすめの工夫】をご紹介していきます。
平屋は収納が少なくなりがちというイメージがありますが、生活動線に沿って収納スペースを配置することで、使いやすく管理しやすい空間になります。
例えば、玄関からキッチンの動線内にパントリーを設ければ、買い物後すぐに収納できて便利です。浴室、洗濯スペース、物干しスペース、クローゼットをまとめて配置し「洗う、干す、しまう、使う」を1つの動線とすることで、利便性を高め家事の負担を減らすことができます。平屋の住み心地をよりよくするためには、動線を意識して収納を計画することが大切です。
平屋を明るく快適な空間にするには、窓の配置や間取りの工夫が大切です。特に、家の中央部分や北側は暗くなりやすいため、天窓を設けたり、光が入りやすい位置に窓を配置したりすることで、自然光をしっかり取り込みましょう。
平屋はすべての部屋が1階にあるため、防犯対策をしっかり考えなければなりません。例えば、玄関や窓には2重ロックを取り入れ、防犯性の高い鍵やガラスを使用すると安心です。また、家の周囲に歩くと音が出る砂利を敷いたり、人感センサー付きのライトを設置したりすることで、不審者の侵入を防ぎましょう。
防犯カメラやダミーカメラを設置したり、オープンな外構にしたりして、視線が届きやすい環境をつくることもおすすめです。
平屋にロフトを設けると、限られた空間を有効活用でき、暮らしの幅が広がります。天井の高さを活かしたスペースをつくることで、収納や趣味の部屋など、目的に合わせて使える便利な空間になるでしょう。
例えば、季節ものの家電や衣類をしまう収納スペースとして活用したり、書斎や子どもの遊び場として使ったりすることが可能です。また、天井を高く見せる効果もあり、開放感のある住まいを実現できます。
平屋の天井付近を工夫すると、より開放的で快適な空間をつくれます。例えば、勾配天井にすると視線が上に広がり、部屋が実際の広さ以上に感じられるでしょう。また、天窓を設置することで、自然光を取り入れやすくなり、明るく心地よい空間になります。ただし、家の中が暑くなりやすかったり、保証が短くなる可能性があるため、注意点を理解した上で検討しましょう。
さらに、小屋裏の一部を吹き抜けにすれば、風通しもよくなり、より快適な住まいにすることが可能です。さらに、床を少し低くしたロースタイルのリビングと組み合わせると、天井がより高く感じられ、ゆったりとした居心地のよい家になります。
平屋の建築費用を抑えるためには、シンプルな間取りやデザインを意識しましょう。例えば、凹凸の少ない四角い形にすることで、材料や施工のコスト削減が可能です。また、リビングを中心に部屋を配置して廊下を減らせば、無駄なスペースが少なくなり、費用を抑えられるだけでなく、動線もスムーズになります。
設備や建材のグレードを調整することもコストダウンのポイントです。さらに、規格住宅やセミオーダー住宅を選ぶと、費用を抑えながら理想の家を実現できます。
平屋のよさを活かすには、事前の計画が大切です。最後に、快適な暮らしを実現するためのポイントを解説します。
平屋の魅力を最大限に活かすには、土地選びが大切です。
平屋を建てる土地を探すときは、敷地面積だけでなく建ぺい率も確認しましょう。土地には、敷地面積に対してどれくらいの面積の建物が建てられるかの割合を示す建ぺい率が定められています。建ぺい率はエリアによって異なるため、建ぺい率が高いエリアであれば同じ敷地面積でもより広い平屋を建てることができます。そして、敷地の形や向きも慎重に検討しましょう。例えば、細長い土地では間取りの自由度が低くなり、動線がスムーズにつくれないこともあります。また、周囲に高い建物があると、日当たりや風通しが悪くなる可能性があり、注意が必要です。
さらに、平屋はすべての部屋が1階にあるため、浸水リスクのあるエリアは避けたほうがよいでしょう。ハザードマップを確認して、安全な環境かどうかをチェックし、長く快適に暮らせる土地を選びましょう。
平屋を建てるなら、施工会社選びも大切なポイントです。会社ごとに得意な設計や工法が異なるため、平屋の建築実績が豊富な施工会社を選ぶことで、メリットを最大限に活かした住まいを実現できます。
施工会社の過去の事例をチェックし、プランの提案力や住みやすさの工夫がされているかを確認しましょう。また、建てた後のサポートが充実しているかもチェックしておくと安心です。施工会社の種類によって、建築費の相場は異なります。予算とのバランスもよく考えながら、自分に合った会社を選ぶことが大切です。
平屋を建てる際は、依頼する前に費用の相場を調べておくことが大切です。費用相場は地域によって違いますし、一般的に、平屋は基礎や屋根の面積が広くなり、2階建てより建築費用が高くなる傾向があります。施工会社の見積もりを比較するときに、相場を知っておくと、適正な価格かどうか判断しやすくなります。
また、予算を考える際は、坪単価だけでなく、長期的なメンテナンス費用や設備のグレードも考慮することがポイントです。費用を抑えつつ、快適に暮らせる平屋を実現するために、事前にしっかりと情報収集をしておきましょう。
平屋には、動線のよさや開放感など、2階建てにはないメリットがたくさんありますが、土地の確保や建築費用、プライバシー対策など、気をつけたいポイントもあります。事前にしっかり準備をすることで、平屋のよさを最大限に活かした快適な住まいを実現しましょう。理想の暮らしを叶えるために、間取りや土地選び、施工会社の選定などを工夫し、自分に合った平屋の家づくりを進めてください。