※2025年11月4日現在の法律に準じた内容です。
持ち家を売って賃貸に住み替えるべきか、迷う方は少なくないでしょう。
賃貸であれば固定資産税や修繕費といった維持費の負担から解放され、身軽な暮らしを実現しやすくなります。一方で、老後の住まいの確保や家賃負担など、不安を感じる点もあります。また、持ち家を売却する際には譲渡所得税などの税金にも注意が必要です。
本記事では、持ち家を売って賃貸に住むという選択のメリット・デメリット、ライフステージや資金計画に応じた判断のポイントを分かりやすく解説します。持ち家から賃貸への住み替えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
ここでは、持ち家を売って賃貸に住む主な4つのメリットを詳しく解説します。
持ち家を所有していると、次のような維持コストが発生します。
これらの費用は築年数とともに増える傾向があり、家計への負担となります。特に老朽化が進むと、維持管理に手間がかかり、想定外の修繕が必要になることも少なくありません。
賃貸に住み替えれば、こうした維持費が不要になり、毎月の支出を安定させやすくなります。
持ち家を売却すれば、まとまった資金を得られます。その資金を以下のような費用に充てられるのは、大きなメリットです。
また、売却で利益が出た場合は譲渡所得税がかかりますが、マイホームの売却時には「3,000万円特別控除」が適用される場合があり、譲渡所得税の負担を軽減できます。税制の優遇措置を上手に活用すれば、手取り額を増やすことが可能です。
売却で得た資金をもとに生活設計を見直すことで、将来の不安を抑え、安心して暮らせる基盤を整えられます。
関連記事:家を売ったときに税金がかからないケースとは?3,000万円特別控除などの節税ポイントを解説
賃貸の大きな魅力は、ライフスタイルの変化に合わせて柔軟に住み替えられることです。お子様の独立後にコンパクトな住まいへ移ったり、転勤に合わせて別の地域へ移住したりと、状況に応じて自由に住まいを選べます。
近年では、高齢者向け賃貸住宅やサービス付き高齢者住宅など、安心して暮らせる物件も増加しています。「今の自分たちに合う家」を選べることは、持ち家では得にくい身軽さであり、将来の変化に備えた柔軟な暮らし方を実現できます。
持ち家を残すと、相続時に誰が引き継ぐかなどを巡って家族間で意見が分かれることがあります。不動産は現金のように簡単に分け合うことができず、分割するには以下の4つの方法があります。
いずれの方法も手続きや調整に時間と労力がかかるのが現実です。さらに、相続後に空き家として保有し続ける場合は、維持管理や固定資産税の負担が続きます。
その点、持ち家を売却して現金化しておけば、相続人同士で公平に分けやすくなります。「誰が引き継ぐか」「どう使うか」を巡る争いを回避でき、スムーズに資産承継できる点も大きなメリットです。

持ち家を手放して賃貸に住み替えると、維持費の負担から解放されて身軽に暮らせる一方で、注意すべきデメリットも存在します。ここでは、持ち家を売って賃貸に住む2つのデメリットを解説します。
賃貸住宅では、住み続ける限り家賃を支払い続けなければなりません。持ち家のように「住宅ローン完済後は住居費がほぼゼロになる」という状態はなく、老後に年金収入のみで暮らす場合には家賃負担が家計を圧迫するおそれがあります。
特に都市部では家賃相場が上昇傾向にあり、更新料などを含めると想定以上の支出となるケースも少なくありません。また、若い世代でも転職や子育てによる収入変動の時期には、家賃負担が重く感じられることがあります。
そのため、売却で得た資金の一部を家賃補填や老後資金として長期的に運用するなど、計画的な資金管理が重要です。
賃貸では、入居者によるリフォームや改修が可能な物件が少なく、制限があります。そのため、「老後に必要なバリアフリー化」や「子育て世代が重視する防音性・収納力」など、自分の希望に合った仕様を備えた物件を見つけるのは容易ではありません。
また、最新の設備や断熱性能を求めると家賃が高くなる傾向があります。さらに、ペット可や駐車場付きといった条件を加えると、選択肢は一段と限られるでしょう。
物件探しでは「すべてを満たす理想の部屋」を探すよりも、自分にとって譲れない条件を明確にし、優先順位をつけて選ぶことが重要です。

持ち家を売却して賃貸へ移る際には、家計・生活環境・家族関係の3つの視点から判断することが重要です。ここでは、持ち家を売って賃貸に住む3つの判断ポイントを解説します。
家を売って得た資金や給与・年金などの収入をもとに、将来的に家賃を支払い続けられるかを試算することが大切です。特に老後は収入が限られるため、家賃・更新料といった固定費が家計を圧迫する可能性があります。
一方、若い世代でも転職や出産などによって一時的に収入が減ることがあり、長期的な支出計画を立てておくことが重要です。
次のようなポイントを確認しながら、無理のない資金計画を立てましょう。
不動産会社やファイナンシャルプランナーなど専門家に相談し、今後のライフイベントを見据えた資金シミュレーションを行うことで、安心して暮らせる資金計画を立てやすくなります。
転勤やお子様の独立など、人生の節目ごとに住まいに求める条件は変化します。持ち家では柔軟な対応が難しい一方で、賃貸であればライフスタイルの変化に合わせて住み替えやすい点が大きな魅力です。
ただし、希望条件を満たす賃貸物件を見つけるには時間がかかるため、「いつ、どんなタイミングで住み替えるか」をあらかじめ想定しておくことが重要です。
ライフステージ別の住まい選びのポイントは、以下のとおりです。
| 子育て期 | 通学・通勤の利便性を重視 |
| 仕事中心期 | 駅近・都心部の利便性を優先 |
| 老後期 | 段差の少ない住まい・医療機関への近さを重視 |
このように、ライフイベントごとに優先順位を整理しておくことで、急な変化にも慌てず対応できます。賃貸の特性を生かして、その時々の暮らしに最適な住まいを選ぶことが大切です。
家を売却すると、相続資産が現金化されるため、分けやすくなるというメリットがあります。しかしその一方で、住む場所が変わることで家族がサポートしづらくなる場合や、思い出の詰まった実家を手放す心理的な抵抗にも考慮が必要です。
例えば、親の住まいを売却すると、お子様との地理的距離が離れたりご近所との関係がなくなったりすることで、介護や見守りが難しくなるケースもあります。こうしたリスクを防ぐためにも、事前に家族で次のような内容を話し合っておくことが大切です。
| 売却による資産の分配方法 | 売却によって得た資金をどのように分配・管理するかを明確にする |
| 介護・見守り体制の取り決め | 親の生活支援や介護が必要になった際の役割分担を決めておく |
| 実家の思い出や形の残し方 | 写真や思い出の品などをどのように保管・継承するかを話し合う |
このように、家を「売る」という判断は、家族関係にも影響を与えますので、家族の意向も踏まえた上で結論を導くことが重要です。

物件が条件を満たしている必要がありますが、「リースバック」という制度を利用できる場合もあります。リースバックとは、自宅を不動産会社や投資家などに売却したうえで、買主と賃貸契約を結び、同じ家に住み続けられる仕組みです。売却代金を一括で受け取りながら、引っ越しの手間や生活環境の変化を避けられるのが最大の特徴です。
老後の生活資金を確保したい場合だけでなく、教育費・医療費・事業資金などが必要になったときにも活用できます。さらに、契約内容によっては将来的に売却した家を「買い戻し」できるオプションを付けられるケースもあり、柔軟な活用が可能です。ただし、契約形態は「定期借家契約」と「普通借家契約」の2種類があり、再契約や買い戻しの可否は契約内容によって異なります。
リースバックには以下のような注意点もあるため覚えておきましょう。
リースバックの利用を検討する場合は、契約の種類や契約期間のほか、更新や再契約、買い戻しの条件を事前に確認しておく必要があります。加えて、売却益が出た場合は譲渡所得税が発生する可能性があるため、不動産会社に相談しておくと安心です。
「住み慣れた家に住み続けながら資金を確保したい」「老後の生活設計を立て直したい」という方にとって、リースバックは有効な選択肢となります。
持ち家を売って賃貸に住むという選択は、単に「家を売る・借りる」というだけでなく、これからの暮らし方そのものを見直す機会になります。維持管理の負担から解放され、ライフスタイルに合わせて柔軟に住み替えられる一方で、家賃を払い続ける必要があります。
そのため、「長期的な資金計画」「今後のライフイベント」「家族との関係性」などを総合的に考えることが大切です。また、住み慣れた家にそのまま住み続けながら資金を確保できるリースバックのような仕組みも、状況によっては有効な選択肢となります。
持ち家から賃貸への住み替えは、ライフステージに応じた柔軟な暮らしを実現するための一つの方法です。ご自身や家族にとって最適な形を考え、納得のいく住まい方を選んでいきましょう。